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瞑想世界71
分かったと僕は頷いた。
僕はもう一度田村に殴りかかった。
だが田村は悉く僕のパンチをかわし、身を翻して距離を取り、おもむろに言った。
「俺は田村だ。今は無益な闘いをしている時では無いんだ。早く成実ちゃんを救出しなければならないだろう、違うのか?!」
僕は殺意に酔いしれ、怒鳴った。
「うるさい!」
そんな僕に田村が業を煮やし、目にも止まらぬ裏拳をかまして来た。
そのパンチは僕の顔面を捉らえ、僕は吹き飛び気絶した。
夢心地の中、初恋の女性が蛍である僕を指差し言った。
「綺麗」
僕はその声に目を覚ました。
目を覚ました僕に田村が語りかける。
「大丈夫か。成実ちゃんを捜しに行くぞ」
僕は頷き答えた。
「分かった」




