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瞑想世界69
嘘だ。お前は田村ではないと僕は叫んだ。
追跡したが、成実ちゃんを見失った。
田村の事が気になり、急いで戻るが、田村もいなくなっている。
僕は不安にかられるのと同時に、この状況を悦んでいる自分がいるのを感じた。
悪意と友情がせめぎ合いを続ける中、僕はいなくなった田村を捜し回る。
林道を吊橋の方に逆戻りしたところで、背後から田村に声をかけられた。
「おい」
振り返った僕は悪意のままにこう叫んだ。
「貴様は田村なのか!」
田村が答える。
「そうだ。半分瞑想装置になった田村だ」
僕は叫んだ。
「お前に友情があるのならば俺はお前を殺さないが、無いのならば殺す!」
田村が答えた。
「俺は田村だ。お前の友達の田村だ」
悪意のままに僕は田村の言葉を訝った。
「嘘だ、お前は田村ではない、だから殺す!」




