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瞑想世界68
む、ら、せ、あ、い、し、て、いと白目を剥いた成実ちゃんが言った。
成実ちゃんが金切り声を上げた後、言った。
「む、ら、せ、あ、い、し、て、い」
憎悪のままに殴り付けようとする僕の動きが止まった。
涎を垂らしながら成実ちゃんが続ける。
「あ、い、し、て、い」
殺意が急速に萎んでいくのを感じながら、僕は声を大にして喚いた。
「成実ちゃん、俺と一緒に帰ろう!」
成実ちゃんが狂ったように笑った後再び言った。
「あ、い、し、て、い」
僕は大きく頷きもう一度喚いた。
「一緒に帰ろう!」
次の瞬間成実ちゃんが白目を剥き、背中を見せて逃げ出し、僕は叫んだ。
「成実ちゃん!」




