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瞑想世界66
村瀬さん、私を犯してと、成実ちゃんが言った。
真っ直ぐ成実ちゃんに向かってタックルをかました僕に、成実ちゃんが身をかわし、前蹴りを入れて来た。
その瞬間、僕は暗黒にほうり出された。
暗黒そのものの塊となって無限大に落下して行く恐怖に、僕は絶叫を上げた。
その絶叫が暗黒に一条の光を造った。
絶叫するその声がまさぐるように手探りをして、光を手繰り寄せる。
光は右回転するりんごのチャクラで、僕の絶叫は初恋の切なさにかき消されていく。
そして落下が収まり、僕は右回転するりんごのチャクラになって、暗黒を漂い、りんごのチャクラの光が暗黒を満たして行き、僕は目を覚ました。
目の前にいる成実ちゃんが残忍な笑みを漏らし、言った。
「村瀬さん、私を犯して?」
僕は咄嗟にかぶりを振り答えた。
「成実ちゃん、俺は村瀬ではないぞ?!」
成実ちゃんが僕を凝視し、涎を垂らして白目を剥き、もう一度言った。
「村瀬さん、私を犯して?」




