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瞑想世界64
成実ちゃんを殴り倒して、戦線から離脱させようと僕は提案した。
身体が重く頭が痛くなって来た僕は田村に言った。
「まだ善良な心が残っている内に成実ちゃんを殴り倒し、ジャンプさせて救出するというのはどうだ?」
身体を引きずるように歩いている田村が答える。
「成実ちゃんは瞑想装置だぞ。半分瞑想装置の形では敵わないだろう?」
僕は強く主張した。
「いや成実ちゃんには何の罪も無いし、憐れなだけではないか。そんな成実ちゃんだけでも戦線から離脱させてやるのが情けだろう?」
辛そうに顔をしかめ、息を吐きだしつつ田村が頷いた。
「分かった。そうしよう」




