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瞑想世界62
あらゆる可能性は均等にあるという事さと、田村は言った。
僕は尋ねた。
「一人が暗黒のワームホールに落ちたら、連鎖的に全員の絶対死が待ち受けているのじゃないのか?」
田村が頷いた。
「絶対の死の増殖というやつだな。ワームホールが一人の絶対死をきっかけにしてその数を増やせば、そんな現象も大いにあるだろうな」
僕は生唾を飲み込み、言った。
「あらゆる可能性が待ち受けているという事か?」
田村がしきりに頷き答えた。
「そうだ。絶対死を迎えた直後、ホワイトホールから脱出して生還する可能性だって、全く無いとは限らないだろう。何だってありの世界さ」
「生は死で、死は生という同一概念か?」
田村が答えた。
「そんな可能性もあり得るという事さ」




