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瞑想装置54

虚々実々、混沌の坩堝にある、何も信じられない瞑想世界。

金切り声が上がった。




大きく跳躍して成実ちゃんが林道を横切り、藪に飛び込んで行くのを村瀬が追いかける。




あくことの無い闘いが哀しみを帯びて続いて行く様を見ながら、僕は言った。





「あの村瀬が村瀬の本体でお前が村瀬の分身であるならば、田村は絶対の死を迎えもう存在しないのか?」





田村が答えた。





「俺は田村だ。信じてくれ」





僕は憎悪を込めて喚いた。





「信じられない。村瀬は分離し、もう一人の田村たる村瀬を現したではないか?」





「それはお前の幻覚なのだ。半分瞑想装置たるお前が幻影を見たのだ」





「この世界では虚々実々。嘘が真実で、真実が嘘なのか?」





田村が辛そうに顔をしかめ、答えた。





「いや、お前が俺を助けようとする行いは真実だと思う」





僕は頭が混乱し、憎悪のままに怒鳴った。





「全て可能性論。何が起きるか分からない混沌の中で、お前を助ける事が、俺の死に繋がる可能性だってあるじゃないか?!」





田村が答えた。





「いや、お前が俺を助けようとする、その行いは絶対に真実だ」

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