43/270
瞑想世界43
僕は自分の狂気を忌み嫌い、叫んだ。
僕は田村に尋ねた。
「田村、お前が村瀬だから俺は狂って瞑想装置になるのか?」
田村が答える。
「違う俺は村瀬としての成実ちゃんなんだ。だからお前は狂ったりはしないのさ」
目に涙を浮かべ、僕は懇願した。
「田村、俺はお前と殺し合う事なんて嫌だ。助けてくれ、田村、お願いだ?」
田村が答えた。
「大丈夫だ。プールを探し、赤いパラソルを開けばお前は狂ったりはしない。心配するな」
僕はもう一度田村に哀願した。
「田村、俺は狂いたくない、田村?」
一回転した田村が村瀬になり、パンチを繰り出して来た。
殴られ、倒れ込んだ僕は、そのままの勢いで絶叫した。
「朝鮮人!」
すると村瀬が田村に分離して行き、二人の人間になり、叫んだ。
「赤いパラソルは朝鮮人ではない。馬鹿にするな!」
僕は僕自身の狂気を忌み嫌い、もう一度叫んだ。
「村瀬、田村を帰せ!」




