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瞑想世界39
全ては可能性論としてあるわけだと、田村は言った。
僕は田村に対してもう一つ質問をした。
「俺の実存の石ころはどこにあるんだ?」
一拍置き、田村が答えた。
「それも村瀬が鍵を握っている事は間違いない事実だと思う。全てはこれからだと思う」
「瞑想装置たる村瀬が本当の事を言うかな?」
田村が強く主張する。
「村瀬の意識を正常なものにして、村瀬の思弁から引きずり出すしか手はないじゃないか?!」
僕は耳に電話を充てたまま頷き、言った。
「そうだな」
言った後、僕はもう一つ思い付いた疑問符を口に出した。
「悪意に満たされた村瀬が、石ころを恣意的に蹴る事も考えられるな?」
田村が答えた。
「全ては可能性論としてあるわけだが、早く戻らなければならないだろうな」




