瞑想世界264
村瀬は俺達を誘ったのだと、田村が言った。
成美ちゃんが答える。
「いえ、私にはアガティスの石ころ云々の話しは一切していませんね。ただ…」
ただどうしたのと言い、僕は成美ちゃんを促した。
成美ちゃんが答える。
「ただ友達を助けなければならないと言っていたのは確かです。そうこうしている内に行方が分からなくなったのです」
田村が言う。
「俺にはアガティスの石ころを誰かが蹴る前に異相に旅立ち、蹴られないようにしなければならないと、再三言っていたが、考えてみると異相に旅立たなくても、現実社会でアガティスの石ころは探せるわけで、今になってあの言葉はふに落ちないわけだが…」
僕は言った。
「その言葉は俺達を異相に旅立たせる為の口実だったのかもしれないな」
田村が答える。
「今になって考えると、その可能性も考えられるわけだ。しかし何故そんな口実を作ってまで、俺達を異相に誘う必要性があったのだ?」
僕は答えた。
「滅びを予知したからかもしれないな?」
田村が誘う。
「事前に滅びを予知して俺達がこうなるのを想定したと言う事か?」
僕は答えた。
「その可能性もあると思う」
成美ちゃんが言った。
「それじゃ村瀬さんは私達が絶対死を迎えないように仕向けるために異相に旅立ったという事ですか」




