瞑想世界254
俺は最愛の母さんを滅ぼすような愚か者ではないと、僕は怒鳴った。
憤りを込めて僕は喚いた。
「俺は人間存在を滅ぼす瞑想装置になんかなりたくはない!」
田村が否定する。
「お前は既に村瀬に加担してお前の肉体と共に人間存在を滅ぼしたのだ。だからその言葉は意味をなさない理屈になる」
僕は一声唸り答えた。
「もし俺が母さんの住む地を滅ぼしたと仮定しても、その位相転位増殖したこの地に母さんがいるならば、俺は最愛なる母さんを滅ぼすような愚かな真似はしない。して堪るか!」
田村が言う。
「お前のいるその地がカオスの坩堝、魔境ならば瞑想装置たるお前はその地を容赦なく破壊滅ぼすと俺は思う」
僕は怒鳴った。
「俺は母さんがいる母なる大地を滅ぼしたりはしない!」
田村が答える。
「何度も言うが、瞑想装置は人間存在ではないのだ。瞑想装置は言わば本能的にカオスの領域を破壊しているのだ。そこに人間存在が定める善悪の判断は皆無と言えるだろう。言い換えれば、それは自然現象であると断言出来るわけだ」
僕は反論した。
「そこに愛とか友情、素晴らしい絆が在っても滅ぼすのか?」
田村が答える。
「カオスは狂気の坩堝ではないか。愛や友情、素晴らしい絆や慈しみが在ったとしても、それに相対するように憎悪、恨み、裏切り、虐待、殺し合いなどが数限りなくあるのも確かであり、それは狂ったカオスの坩堝には変わりないと俺は思う」




