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瞑想世界244
残念ながら村瀬さんはいなかったのよと、成美ちゃんは言った。
僕は成美ちゃんに尋ねた。
「成美ちゃんが次元の狭間を抜ける時は、エッシャーの騙し絵さながらに、自分の分身に転移変換されて行くの?」
成美ちやんが答えた。
「それは多分私と波長が合う私自身への滑らかな転移だと思うの」
僕は再度尋ねた。
「成美ちやんが違う肉体を求めれば、そこに向かっての移転もあり得るわけだ?」
成美ちゃんが明言する。
「憑依する事は可能よ」
僕は論理展開して行く。
「メビウスの輪的に、異相の壁を抜ける時、自分がいない違う異相もあると思うけれど、それは避けて、分身に転移して行くわけか?」
成美ちやんが答える。
「それはそうね。私がいない異相もあるから、それは避けるわ」
ここで僕は突っ込んだ質問をした。
「選択したあらゆる異相に村瀬はいなかったんだ?」
成美ちやんが答えた。
「そうね。残念ながらいなかったのよ」




