瞑想世界242
魂と肉体の自己意識共有とは?
成美ちゃんが言う。
「多分私の肉体と精神の分離はあの海浜公園に入った直後だと思うの」
成美ちゃんの意見に僕は賛同した。
「俺も同感だ。肉体は吊橋からの墜落に耐えられるものではないからな」
田村が僕に尋ねて来る。
「お前は肉体から魂が抜けたのはどの地点だと思う?」
僕は答えた。
「ジャンプする直前だと思う」
間を置いて田村が言った。
「俺が伝達した瞑想マニュアルと言うかまじないが魂を肉体から離脱させ、位相に誘ったのだろうな、多分」
僕は尋ねた。
「田村、お前はどうなんだ?」
田村が答えた。
「俺も同じだ。単数としての複数意識が肉体から完全に魂の方に逸脱して、次元の壁を抜け位相にジャンプしたのだろうな」
続けて僕は田村に尋ねた。
「残された肉体は死なずに海浜公園に残って生き続けたわけか?」
田村が答える。
「そうだ。単数としての複数存在として、両者が同時に意識を共有し、異相と現実が混じり合い、意識が魂と肉体双方を行き来し始めたわけだ」
僕はもう一度質問した。
「ミキシングしたから、様々な幻覚というか現実そっくりの騙し絵を俺達は見たのか?」
田村が答える。
「論理的にはそうなるわけだ」




