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瞑想世界233

うるさいと、僕は怒鳴った。

田村が言い切った。





「そんなものはここには存在しないのさ」






僕は嘆息してから言った。





「ちょっと待ってくれ。俺は瞑想装置になんかなりたくない。人類の滅亡を阻止して、愛や友情を奪還して、お前らと一緒に現実世界に生還し、母さんの言う通り、所帯だって持ってみたいのだ」






成美ちゃんが言った。




「そういった思弁をイメージすれば、それは直ぐさま錯覚出来るわ。でもそれは既に実存では無いのよ」





僕は成美ちゃんに尋ねた。





「ちょっと待ってくれ、成美ちゃん。それはどんな意味なんだ?」






成美ちゃんが答える。




「あなたが瞑想装置を標榜し、位相転移した時点で、あなたが生還しようとしている現実世界は消滅したのよ。あなたが瞑想装置そのものとなり、アガティスの石ころを蹴り、消滅させたのよ」





僕は成美ちゃんの言葉を信じられず喚いた。




「嘘だ。嘘を言うな。ならば俺の母さんや、家族はどうなってしまったのだ?」





成美ちゃんが告げる。




「複数としての単数存在の無として、私達二人と同じように、あなたの横に寄り添っているじゃない」





僕は納得出来ず、もう一度喚いた。





「ふざけるな。俺の母さんは無なんかじゃない。母さんは母さんじゃないか!」





田村が助言して来る。





「落ち着け。村瀬たる瞑想装置が、アガティスの葉を見て、お前の未来を予測したのはこの事なのだ。お前は今在るがままの実在実存を信じ、前に進むしか無いのだ」





僕は怒鳴った。





「ふざけるな。俺はお前らと共に、人間として愛や友情を貫き、自分の未来を護る為にこの世界にジャンプしたんだ。俺は生還して母さんに会いたい。それが俺の生きる道ではないか!」





成美ちゃんが言った。




「そういう人間存在の情念をいつまでも持っていたら、こちらの世界では騙し絵に翻弄されて苦しむだけなのよ」





僕は拒絶した。





「うるさい。俺は俺なんだ!」

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