瞑想世界227
危険極まりない世界こそが異相の現実なのだ。そこに絆はなく甘えは一切許されない。
人間存在は愚かしい。
全知全能など程遠く、常に心乱れ、社会に在っては対人関係に病み、病気にも直ぐになり、下手をすると生死をさ迷ってしまう。
少し先の未来も予見出来ず、訪れる災いと幸福感に一喜一憂する愚かしい存在なのだ。
そしてそんな共同体意識の中で、暮らしの快適さを求め、貪欲に金を欲しがり、それが安心安全に結び付く本能だからと高を括る。
社会の根幹は金であり、それに万能性をもたしてしまっているからこそ、部分でしかない人間は人と人との絆無しでは生きては行けない存在なのだ。
絆にしか愛を見出だせないと盲信している人間は時として恋に狂い、自分の命を投げ出す愚かさも持ち合わせ、その恋を人々は純愛と呼び、持て囃す。
だが社会から抜け出し、位相の真っ只中、カオスの坩堝に在っては、そんな人間存在の常識など全く通用しないのが現実なのだ。
瞑想装置。
そんな神的存在を前にして僕らは己の無力さをただ実感するしかないのだ。
異相はそんな人間の愚かしさを、許容などはしてはくれない。
危険極まりない世界でしかないのだ。
奢り高ぶりを棄てて、僕らはその実存を直視するべきなのだと、僕は思った。




