224/270
瞑想世界224
僕はもう一度不気味な静寂に埋没して行く戦術を取った。
不気味な静寂が、僕に先に打って出るかどうかの迷いを生じさせる。
カオスの坩堝の中では何が起きてもおかしくは無いのだ。
当然その中では田村との闘いが収束した可能性も有り得る。
そんな迷いが生じ、僕は戦略を建て直す。
先に動いて、田村が襲って来なければ、吊橋からジャンプして位相転移すれば良いという戦略だ。
この戦術には勿論危険性もある。
このようなゲリラ戦は、先に動いた方が負ける可能性が高いのだ。
僕は固唾を飲み、もう一度大地に耳を充て、田村の動きを窺った。
物音は何もしない。
ゲリラ戦の場合、静寂に翻弄されて、冷静な判断力を失い、錯乱を起こした方が負けなのだ。
僕は眼を見開き、もう一度不気味な静寂に埋没して行く戦術を取った。




