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瞑想世界222

僕は指先で涙を拭った。

田村の足音を感知すべく、僕は大地に耳をつけた。





それらしき音は聞こえて来ない。





田村の殺意の、その息吹、気配さえ消え失せている静寂の中、僕は喘ぐように息を繋いで行く。





この世界では訪れ筈の無い睡魔が襲って来た。





眠る事は即死を意味する。





この状況下、頭を空っぽにすれば良いのだが、僕は夢想するように考えを繋いで行ってしまう。





田村は全ての鍵は成美ちゃんが握っていると主張した。





それは成美ちゃんが、僕らよりも村瀬たる瞑想装置に近寄っている事を意味する。





成美ちゃんのその執念は凄まじいものなのだが、一面悲しい恋心を窺わせる事も確かだ。




成美ちゃんの言わば人間的悲しみをおもんばかっているのは、正に僕の人間存在であり、僕は客観的な見方はせず、その思考に埋没して行く。




成美ちゃんは村瀬たる瞑想装置の傍にいられれば無に帰しても構わないと言った。





それは明らかに悲恋と言える。





一人の女性、人間存在としての幸せを諦める過程には多大の苦悩を要したわけであり、その情念を推察するだけで、僕は涙が溢れそうになった。





僕は恋愛に疎い。





だから女性の気持ちは分からないと言って良いのだが、そんな僕でも成美ちゃんが辿った悲恋の道のりは分かる気がする。




僕は眼に浮かんだ涙を指先で拭い、夢想とも言える思索を続けて行った。

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