瞑想世界211
成美ちゃんに対する呼びかけは続行すると田村は言った。
田村と合流して対策を練る運びとなった。
僕は質問した。
「その気になれば村瀬は俺達を殺す事など簡単な筈なのに、何故殺さないのだろうか?」
田村が答える。
「分からない。人間尺度では計り知れないからな。推論を立てても、全て可能性論になるだけだしな」
「その論理だと、全て村瀬が仕組んでやっている事なのか、カオスの坩堝が自動的にやっている事なのかも、判定は下せないと言う事か?」
田村が頷き言った。
「そうなる」
「成美ちゃんに対する呼びかけを続行するしかないか?」
田村がもう一度頷いた。
「それをしている過程でこのようなリアクションが有ったのだから、成美ちゃんが応じてくれる可能性をも含めて、先にどんでん返しとも言える意外性を求めて、続行するしかあるまい」
僕は考える間を置き尋ねた。
「成美ちゃんが俺達の知らない、村瀬の未知なる側面を知っているかもしれないという意外性か?」
田村が答えた。
「それも不可知な瞑想装置の可能性である事を含めて、危険があろうとも、成美ちゃんに呼びかける行いは、俺達にとっては必要条件となると俺は思う」




