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瞑想世界210
空は何処までも青い。
田村が言った。
「村瀬からの妨害が入っているんだ」
「何故だ、俺達の力など微力じゃないか?」
田村が答える。
「何故かは分からない」
田村の声が途切れた直後、僕はカオスの坩堝にほうり込まれ、紅蓮の炎に囲まれた。
息が出来ない。
僕は激しく咳込み、炎からの脱出を試みる。
雄叫びを上げ、僕は燃え盛る炎をかい潜った。
だが脱出に成功した直後、僕は再び炎に包まれ絶叫した。
僕は炎に焼かれながら、第三者の眼で自分を焼いた米兵を見詰めている。
僕は生き残り最後まで抵抗を続ける日本兵で、米兵の火炎放射器による掃討戦がなされているのだ。
転じて空は何処までも青く、僕はその青空になり、焼かれ行く自分自身を見詰めている。




