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瞑想世界206
届くまで続けようと、田村が言った。
降り出しに戻った感じの状態で、田村が一計を案じた。
「馬鹿の一つ覚えのごとく猪突猛進はもう止そう。俺達は成美ちゃんとの交信を求めているのであり、騙し絵に殺されに行っているわけではないからな。ここで死に神たるカオスの坩堝にジャンプするのを控え、通信瞑想で成美ちゃんにコンタクトを計ろう」
僕は言った。
「成美ちゃん、応じてくれるだろうか?」
田村が言い切る。
「それしか手は無いじゃないか。俺もお前も絶対死したら、通信瞑想さえ出来なくなるからな」
缶コーヒーを一口すすり飲み僕は言った。
「俺達の気持ち成美ちゃんに伝わるかな?」
対座している田村が答えた。
「伝わるまでやるしかない。真心を込めてメッセージを送るんだ」




