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瞑想世界205
僕は田村をおんぶしたまま崖っぷちからダイブした。
田村が命令する。
「かまいたちが又来るぞ。早くジャンプしろ、出血多量で死んでしまう!」
僕は命令に従い、田村をおんぶさり怒鳴った。
「灯台のぐるりを回らなくてもいいのか?!」
田村が喚く。
「そんな暇は無い!」
田村をおんぶして吊橋に向かう僕の頬にかまいたちが走った。
激痛が走り、血が噴き出した。
閃光とも言える早さで、矢継ぎ早にかまいたちが走り、僕と田村は切り刻まれ、交互に絶叫を上げる。
満身創痍になりながら、吊橋を無視して、僕は田村をおんぶしたまま崖っぷちからダイブした。
錐揉み状に落ちて行く二つの青いビー玉が、血みどろになった、かまいたちの傷口を塞いで行く落下。
青いビー玉の回転が位相手術するように時間軸を逆戻りさせ、傷口を塞いで行く。
青いビー玉の回転が迫り来る岩場と混じり合い、何の抵抗もなく、僕は田村をおんぶしたまま自分の部屋に投げ出された。




