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瞑想世界198
いや、死に神だと田村は言った。
僕は尋ねた。
「俺達は成美ちゃんや村瀬に出会ったのか?」
田村が答える。
「いや、何も進展していない。カオスの坩堝に殺されそうになっただけだ」
僕は嘆息した後言った。
「以前よりも殺す速度が増していないか?」
田村が答えた。
「村瀬のアガティスの石ころを蹴る破壊衝動に、カオスの坩堝が共鳴しているのだ」
「村瀬が故意にやっているのか?」
田村が冷静な口調で答える。
「いや、村瀬は破壊しようとしているだけだ。カオスの坩堝が勝手に共鳴しているだけだと思う」
生唾を飲み僕は言った。
「まるで生き物だな?」
田村が答える。
「いや、死に神だ」




