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瞑想世界197
俺は生還したのかと、尋ねた。
田村が怒鳴る。
「信じるな。ジャンプするぞ!」
成美ちゃんの声が続く。
「アガティスの葉は私を愛していないの?」
村瀬の声が続く。
「そうだ。お前らアガティスの朝鮮人は死ね!」
僕は嘘だと喚き、田村の声を信じて、実存として今掴んでいるロープを手離した。
僕は青いビー玉となって、激しく回転しながらも、迫り来る岩場をじっと見詰めている。
その恐怖感を僕は信じ、生きている証となした瞬間、生還した。
自分の部屋。
額にかいている汗を拭ったところで、田村が頭に直接話しかけて来た。
「自己崩壊寸前だったな。大丈夫か?」
僕は答える。
「俺はジャンプして生還したのか?」
田村が答える。
「そうだ」




