瞑想世界193
村瀬のメモを読んでいる成美ちゃんが泣き出した。
村瀬の部屋。
村瀬は留守だ。
ブログに書き込む予定の下書きが、大学ノートに殴り書きされているのを成美ちゃんが読んでいる。
互いに罵り合う朝鮮人に未来なんか無い。何故朝鮮人の家庭は崩壊するのだろうか?朝鮮人の血は濃過ぎるのだ。日本人への逆差別、闘争心が新たなる朝鮮人差別を生んでいる現実に目を向けろ。
俺は自分が朝鮮人である事を呪う。
呪う。呪う。呪う。呪う。呪う。
現状、進んでいる差別競争は戦争状態と言えるだろう。朝鮮人同士の確執、葛藤が一番苛烈だ。
朝鮮人の日本人への同化は、朝鮮人による朝鮮人差別の激烈さを生んでいる。
自分の子が朝鮮人ならば、蔑むのは当たり前なのだ。
朝鮮人として生まれた子は奇形児に等しいわけだ。生まれてはならない子が俺なのだ。
虐待した両親を恨む前に、自分が朝鮮人に生まれた事実を呪うべきだ。
日本人にとって朝鮮人など、どうでもよい存在でしかない。
朝鮮人の朝鮮人差別が特化して問題なのだ。
だから俺は朝鮮人の朝鮮人に対する骨肉の争い的虐待差別を一番呪う。
僕は成美ちゃんの心に入り込み、田村と共に村瀬の殴り書きを読んでいる。
殴り書きを読んでいる成美ちゃんが泣き出した。
その涙は熱く、村瀬への同情、慕情に満ちているのを僕は感じ取る。




