表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/270

瞑想世界187

騙し絵に殺されてしまうぞと、田村が怒鳴った。

海浜公園に戻り、田村が忽然と姿を消した。




丸い雲に埋没するように成美ちゃんの歌声が聞こえ、僕は寂しさに暮れる。





田村を捜しながら、僕はプールに辿りつき、成美ちゃんの歌声が橙色の哀しみを湛えた満月に変わっていくのを、虚ろに見詰める。





ある筈のない満月は、成美ちゃんの恋歌に哀しみの細長い雲をかき抱いている。





その満月を見詰めながら、僕は己の影に視線を落とし呼びかけた。




「田村」




田村が答える。





「俺はここだ。お前の横にいるぞ。満月を見るな」




僕は横に並んで歩いている満月に呼びかける。





「分からない、田村、何処にいるんだ?」





「満月を見るな。騙し絵に殺されてしまうぞ!」





田村が怒鳴ると、満月が消え、田村の姿が現れた。





僕は息をつき言った。




「成美ちゃんの歌声が聞こえたぞ」





田村が言った。





「それも騙し絵だ。しっかりしろ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ