瞑想世界173
騙し絵としての静寂なる破壊?
静寂で美しい破壊が無を増殖し、新たなる次元宇宙を光と織り成して瞬時に創成し、それが又無に飲み込まれる様を凝視しながら、僕は思った。
僕はワームホールとなり、暗黒の自分自身を飲み込み、その飲み込む行為が、そのまま無としての暗黒を醸成し、連鎖的な光をも飲み込む無の増殖を深めてているのを。
白い無としての暗黒の増殖。
その美しい破壊に寄り添うように、僕は自分の内在たる村瀬に語りかけた。
「村瀬、お前は何でそんなに美しいのだ」
村瀬が返事する。
「破壊の為の破壊こそが宇宙の真理なのさ」
慈しむように僕は言った。
「村瀬、お前の静寂なる破壊に成美ちゃんは恋しているのだな。白い無となって暗黒を塗り替えながら、次元宇宙を創成し、寄り添うように破壊を繰り返しながら、恋しているのだな」
村瀬は答えない。
田村の声が息の細胞分裂を撹拌して、エッシャーの騙し絵さながらに、螺旋階段を成して行く。
無の増殖が螺旋階段の一階から二階に移動すると一階となり、白い無は白と黒の無を反転させながら同時に単数としての複数を象った白黒の無となる不条理な騙し絵。
その騙し絵から田村の声が聞こえて来た。
「これは騙し絵だ。騙されな!」
暗黒の僕は破壊を愛でるように、狂ったように笑い言った。
「成美ちゃん、一緒に帰ろう」




