瞑想世界170
不条理な相関図が限りなく美しいのですと、成美ちゃんが言った。
成美ちゃんが言う。
「特に村瀬さんは、朝鮮人差別が昇華された燃え上がるような破壊は美の極致と呼べるわ」
すかさず田村が反論する。
「それも比較論の範疇だろう。朝鮮人差別が破壊を相対的に増大させるのだから、それは憎悪の増大であり、比較論に成り得ているではないか?」
成美ちゃんが否定する。
「単一の時空間での永劫性を持った差別意識は憎悪に変換されず、永劫性に昇華され、複数としての単数時空間の中で、美しい破壊を生むのです。それはそれぞれが相関関係を度外視したところに、純粋に単数としての複数として機能し、それ故に、比較論を排除したその破壊性は美しく燃え盛るのです」
田村が言う。
「破壊から、対比としての悲惨さが抜ければ、それは純粋な破壊という行為であり、美しいという論法か?」
成美ちゃんが頷いた。
「そうです。悲惨という概念を無化した破壊の為の破壊は限りなく美しいのです」
田村が否定する。
「だが対比という概念が無ければ、破壊の後の無化された、無の増殖から派生する創成は有り得ないではないか?」
成美ちゃんが言う。
「いえ、複数としての単数単一永劫性世界では、単一性故に矛盾しての相関関係が生まれ、一元論としての破壊が、無関係な一元論としての創成を生むのです」
田村が言った。
「それば無関係としての相矛盾した関係の相関図か?」
成美ちゃんが頷いた。
「そうです。その矛盾、不条理が真理であり果てしなく美しいのです」




