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瞑想世界166
人間尺度で言わないで下さいと、成美ちゃんが言った。
僕は言った。
「あらゆる絆から解放されて行って神に至る道は、元絆を有していた者達の筋さえ破壊、殺戮するものならば、それに痛みを感じない存在ならば、神と呼べる者ではなく、単なる鬼畜の類かと思うが、どうだろう?」
成美ちゃんが答える。
「形あるものは必ず滅びるわけです。その滅びを手伝い無化する事は、新たなる創成に導く所作であり、破壊の為の破壊ではなく、鬼畜とは異なる存在だと私は思います」
僕は反論した。
「でも滅び、創成した者は元の自分の記憶を消失しており、自分とは言えない隔絶された存在でしかなく、その破壊と創成には明らかに不備があったと思えるのだが、どうだろう?」
成美ちゃんが答える。
「瞑想装置の無化、破壊は創成を尺度にいれない、残忍な破壊であり、その無から何が創成しようと知った事ではないのです」
僕は言った。
「そんなのは神とは呼べないだろう」
成美ちゃんが反論する。
「人間尺度で言わないで下さい。それが瞑想装置なのだから」




