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瞑想世界156
分かったと、田村が言った。
絶対の死への恐怖を噛み締めつつ、吊橋から僕はジャンプした。
死への恐怖を克服する為に、目を見開き僕は迫り来る岩場を凝視する。
黒い岩場がスライム状になり、激突した僕の身体を溶かし、吸収して反転、ほうり投げた。
スライムの粘りから解放されるように、僕は目を見開いた。
自分の部屋。
僕はすかさず田村に連絡を入れ、成美ちゃんの安否を気遣う。
田村が答える。
「成美ちゃんは消息を絶っているな」
その言葉を聞き、僕はこの場所がワームホールの内側でない事を知り、逆に安堵した。
田村が言う。
「ここから、どうするんだ?」
僕は答えた。
「成美ちゃんを求めて再度ジャンプしよう」
しばしの沈黙の後、田村が息をつき答えた。
「分かった」




