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瞑想世界140
それが知覚の限界だと、僕は独りごちた。
田村の言葉は一点的を射ていないと、僕は考える。
それは通信瞑想の力の差だ。
田村は自分の通信瞑想力に鑑みて、他人の細部に渡るメモリー回路を判読は不可能と言ったのだろう。
僕は通信瞑想力に於いて、村瀬の方が田村を凌駕していると考える。
村瀬は瞑想装置の完成体なのだ。
だから、村瀬は僕と田村の通信瞑想を盗聴する能力をも持ち合わせていると考えられる。
油断は出来ない。
しかし最前話した田村は、その不備故に田村である事を顕していると僕は思った。
と言うよりも。
通信瞑想に攻撃性の無い友情を感じれば、それは田村なのだ。
勿論村瀬の罠という事も考えられるが、愛や友情を感知したら、それは田村だと判断するしかない。
それが知覚の限界だと、僕は独りごちた。




