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瞑想世界138
俺の原風景に忍び込んで、又俺をいたぶるつもりか村瀬と、僕は喚いた。
上下左右の感覚が失せた白い世界を浮遊している中。
答えを出さない田村に僕は催促をした。
「どうなんだ、田村?」
田村がおもむろに答えた。
「お前しか知らないお前自身のメモリー回路を解読して行くしかあるまい」
僕は憤りを込めつつ言った。
「それはどういう意味だ?」
田村が答える。
「だから、お前の幼い頃の誰も知らない記憶をまさぐり、それを手繰り寄せて、それを存在証明にするしかあるまい」
僕は怒鳴った。
「お前は田村ではない。俺の原風景を聞き出し、又いたぶるつもりなんだろう、村瀬?!」
田村が田村らしい声で答えた。
「俺は田村だ」




