135/270
瞑想世界135
田村としての村瀬が貴様など死ねと言った。
象が完全に破壊され尽くした後、村瀬の気配は消えてなくなった。
僕は真っ白になった喪失感の中で田村に尋ねた。
「村瀬は俺の心にも入り、俺の過去に受けた心の傷をも攻撃出来るのか?」
田村が答えた。
「通信瞑想が出来るからな。そんなのは容易いだろう」
通信瞑想を駆使して僕は言う。
「俺の心を破壊すれば、俺は瞑想装置の完全体になってしまうではないか。それは村瀬にしてみれば、デメリットばかりがあり、メリットは無いではないか?」
田村が答える。
「逆に破壊されてお前 の心が脆弱な人間に戻り、通常の死を迎える可能性もあるからな。村瀬の狙いはそこにあるのかもしれないしな?」
僕は相槌を打ち言った。
「その手が有ったか?」
田村が続ける。
「何でもありの世界なんだ。逆にお前が村瀬の心を食い破る位の勢いで行かないとな」
僕は訝り、言った。
「待ってくれ。それが出来るという事は、俺が人間の心を失い、残忍な瞑想装置になった証ではないか?」
田村としての村瀬が嘲けるように笑い、言った。
「貴様など死ね!」




