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瞑想世界132

下らない人間存在は、そのまま高尚なる存在でもあるのかと、僕は言った。

村瀬の気配を感じ取った。





だがそれが村瀬の本体なのか、分身なのかは当然分からない。




僕は田村に言った。





「いたぞ。田村、お前も奴の気配を感じるか?」




田村がああと返事してから言った。





「奴は心底狂っている。だが村瀬の狂気は我々の狂気でもあるのだ。村瀬の心の美の奪還は同時に我々の心の美の奪還となるのだ。その心の美は取りも直さず友情や愛の奪還となると思う。頑張ろう」




僕は答えた。





「よこしまな瞑想装置からの解放が生還への懸け橋となるのだな?」





田村が冷静な口調で答える。





「そうだ。瞑想装置は破壊を司る神でもあるのだが、瞑想装置には愛が欠如しており、その欠如分を補う事が、我々全員の救出に繋がるわけだ」





僕は息をつき言った。




「しかし愚かしく、不安や孤独感を引きずり、失敗ばかり繰り返す人間存在への帰還が、本当の意味での救いとなるだろうか?」





田村が言い切った。





「愚かしいかもしれないが、そんな人間くささが相互の絆を作り、家族を思い、恋人を慕う得難い愛情を形成している事も間違いない事実だろう」





僕は言った。





「下らない人間存在は、そのまま高尚なる存在でもあるのだな?」






田村が力強く言った。




「俺はそう思う」

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