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瞑想世界131
破壊としての殺戮は阻止すると、田村は言った。
隣に田村の複合体としての同時多発存在を直感しながら、僕は言った。
「しかし破壊が創造の為のものならば、その破壊は創造という事となり、破壊の概念は消え失せるな」
田村が否定する。
「いや、目の前で現象として起きる残酷な破壊は、その内部に創造を孕んでいても破壊は破壊であると俺は思うんだ。その残酷さを知覚した場合、それは阻止しなければならないと、俺は思うんだ」
僕はコメントした。
「それが知覚域の限界を示唆する一面愚かさの露呈でも、阻止するべきなのか?」
田村が答える。
「村瀬は破壊としての創造を意識して破壊を繰り返しているのではないと思う。破壊に酔いしれ、残酷なる行いに喜悦しているに過ぎないと思うんだ」
「狂った村瀬の殺戮衝動はやはり阻止するべきだという事か?」
田村が肯定した。
「そうだ」




