瞑想世界130
そう思うと、田村は言った。
多次元宇宙を伸縮する移動は、複合的にどの世界にもあり、どの世界にも無いという、分身と本体を直感させる移動で、僕は田村と僕自身のそんな同時多発的な移動を凝視しながら、言った。
「アガティスの石ころから無限大を貰えるならば、アガティスの石ころは大であると同時に小という事か?」
田村が答えた。
「そうだ。だから小の形状をしている時、犬に蹴られて、兼ねる大も消滅するという事だと思う」
伸縮を自覚しながら僕は言った。
「しかし村瀬はアガティスの石ころの消滅から無限大を得るのだろう。それはどういう事だ?」
田村が答える。
「単数としての複数理論に立ち返れば良いと思う。つまり村瀬はアガティスの石ころの消滅としての生成を手に入れ無限大になるのだと思うんだ」
僕は言った。
「消滅としての生成、生成としての消滅ならば、その連鎖は正に無限大だからな」
田村が答える。
「それは死という概念の消滅だと思う。常に死は生と共にあり、死は生であり、生は死であり、無は有である事の証左だと思う」
僕は言った。
「宇宙が無限大の証左は、単数としての複数理論と同質なのだな?」
田村が答えた。
「そう思う」




