129/270
瞑想世界129
とにかく追跡を再開しようと、僕は言った。
足元に過酷な宇宙空間の息吹を感じながら、僕は言った。
「奴を追うのか?」
田村が答える。
「当然だ。成美ちゃんも連れ戻す」
僕は忌ま忌ましげに罵った。
「しかしあの朝鮮人を追うと、こちらまで瞑想装置の残酷さが伝染して来ておかしくなって来るからな。このまま奴を追っていたら、こちらも奴と同じく宇宙の破滅を夢見る破壊神になってしまいかねないぞ」
田村が答える。
「それは仕方ないだろう。いずれにしろ、奴がアガティスの石ころを蹴らないように、阻止するしかあるまい。村瀬や成美ちゃんの美しい魂を奪還するしかない」
僕は頷いた。
「そうだな。とにかく追跡を再開しよう」




