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瞑想世界126
愛や友情が石ころを蹴る事?
村瀬が言った。
「だからお前らの愛や友情はアガティスの石ころを蹴る、その失態行為、所作に過ぎないのさ。俺を助けようと足掻けば足掻く程に宇宙は滅びの時に向かうだけなのさ」
田村が反論する。
「でも今の俺達から愛や友情を取ったら、それこそ単なる瞑想装置に成り下がるではないか。残酷性と破壊衝動しかない瞑想装置など俺は真っ平御免だ」
村瀬が田村の意見に冷笑混じりの拍手を贈ってから、言った。
「それはそれで大いに結構。アガティスの石ころをせいぜい皆さんで蹴り合ってくれ」
僕は喚いた。
「今俺達はアガティスの石ころの中にいる。その内部にいて、石ころをどうやって蹴るのだ?」
鼻で笑い、村瀬が答えた。
「それは俺にも分からない。愛を唱え、あくびする事が蹴る事に繋がる可能性もあるわけだ」
僕は怒鳴った。
「ふざけた事を抜かすな。村瀬!」




