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瞑想世界124
村瀬が高笑いした。
田村が言う。
「宇宙の真理というのは、そんなに下らない事なのか?」
村瀬が嘲笑い言った。
「ならば高尚な事とは何だ。思弁の限界である二元論からすると、下らない事があるから、相対としての高尚はあるのではないか。その論理に則れば、下らない事は高尚であり、宇宙の秘密もそこに辿り着く話ではないか」
僕は言った。
「そんなのは詭弁だ!」
村瀬が微笑む。
「詭弁ではない。宇宙の起源が一粒の石ころで、それが蹴られたら宇宙は滅びるという論理は単純明解、正に高尚なる真理ではないか。宇宙を勝手に複雑なものにして捉らえ、神秘化して、いい気になっているのは人類ではないか。違うのか?」
田村が反論する。
「しかし、路傍の石を犬が間違って蹴り、宇宙が滅びるのでは、余りにも情けない理論ではないか?」
村瀬が強調する。
「だからこその単純明解真理なのだ」
田村が言った。
「シンプルイズベストか?」
村瀬が高笑いして肯定した。
「そうだ。それだ。間違いない」




