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瞑想世界114
辺境の惑星。砂漠になった村瀬に、愛は届かない。
辺境の惑星。
水の気配はなく、荒涼とした砂漠が続いている。
赤茶けた空を一陣の風が吹いて行く。
僕はその風の声に耳を傾けた。
「村瀬さん、愛しているわ」
その風に砂漠たる村瀬が答える。
「俺は渇きが好きなのだ。だからお前など愛してはいない」
不可視の紙になり、僕は身をよじり言った。
「村瀬、故郷に帰ろう!」
村瀬たる砂漠は沈黙している。
寂しい成美ちゃんの風は砂漠に届かない。
どうあっても届かない。
鈍い光を発する二つの月がそんな光景を静かに見下ろしている。




