到着!
話しを進めるスピードが遅くなってしまいました(´Д`゜)\
バスの中は、あいかわらず騒がしくお互いの声が聞き取りづらい。
「昨日のテレビの世界○天見た?」
「ん?テレビがなんだって?」
「だから、昨日の世界○天見た?」
「あー!面白かったね!」
必ず一回は聞き直す。そんなやり取りが続いた。
周りの景色はどんどん自然であふれた所へと進んで行く。
ビルがなくなり、代わりに昔ながらの一軒家が並んでいる。
自動車、バイクがなくなり、代わりに田んぼや森が増えていく。
『あ。かかしだ…』
バスが、変な顔をしたかかしの横を通り過ぎる。
『変な顔…バカみたいな顔しちゃってさ…』
「紅葉!見てみろよ!バカみたいな顔したかかしがたってるぜ!」
向かいに座ってた春彦が指を差しながら紅葉に笑いかけた。
「どこ?どこ?」と、紅葉が前のめりになりながら、窓の外に目を向ける。
「痛い痛い!!!!!!!!」
夢中になり過ぎて、春彦の足を押し付けているのに気づいていなかった紅葉は、春彦の声をきいて小さく「きゃっ」と言った。
「ご、ごめんね。はる君。気づかなかった。」
紅葉は春彦のことを、はる君と呼んでいる。
春彦は、この呼ばれ方が好きらしく、紅葉に「はる君」って呼ばれると、怒りも、悲しみも、不安も全て吹き飛んでしまうそうだ。
「だ、大丈夫だよ。ごめんな、大きな声出して…」
紅葉は首を横に振りながら、「ううん。夢中になり過ぎでたから、我に返ったし…気にしないで?」と言った。
「あ!…もしかして、宿泊所じゃない?」
紅葉と春彦のムードを壊すかように、私の後ろの席の男子が叫んだ。だか、その言葉をきいて、皆そろってその男子の指指す方を向いた。
「「宿泊所だ!!!」」