二択。
皆の声は、驚くくらいそろっていた。
「じゃあ、もう一つ質問。」
先生が、大げさに皆に聞く。それにのって、皆も大げさに反応した。
「せんせー。もう一つの質問って?なーんでーすかー?」
「肝試しをするってことは、ペアが必要なんだよなぁ。」
先生は、腕を組んでうなずきながら皆に問いかけた。
うん。うん。と、皆は頷く。
「自由にペアを組むか、くじ引きで決めるか…どっちがいい?」
「……んーーー。」
皆が考えている間、しばらくの沈黙が続いた。
「くじ引きがいい!」
「自由がいい!」
やがて、二つの声が、ほぼ同時に聞こえた。
「じゃあ、多数決とるか!」
先生の一声で、多数決が始まった。
「まず、自由にペアを組むのがいい人!手挙げて!!」
学級委員の佐々倉君が言った。
「1.2.3.4.5......14人!」
「次は、くじ引きでペアを組むのがいい人!」
「1.2.3.4.5......20人!」
くじ引きにきまった。
やったー!
まわりから、喜びの声が上がる。
『最悪……』
紅葉が心配そうに私を見ていた。
「いろは、大丈夫?いろははずっとくじ運悪いから……」
そう言いながら、私の背中をぽんぽんと叩いた。
そうなんだよな…ずっと昔から、くじ運が悪いんだよね……