過去〜今
今回は、いろはと健太の小学五年生の時の話です。
「ったくよ〜。なんかあるんなら、俺を頼れって言っただろ?!勝手な事してなんかあったら困んのはこっちなんだよ」
「あはは。……ごめん…なさい。」
小学五年の夏。
健太と私は、蒸し暑い中森の中を探検していた。虫取りあみを健太が持ち、虫かごを私が持っていた。
帽子をかぶっていた私は木の枝に引っかかってしまった帽子を取ろうとして、足を滑らし怪我した。それを見た健太は、私の事を怒った。……めったにおこらない健太が怒って、びっくりした反面、新たな一面を見れて嬉しいきもした。
「ん。」
そう言って健太は手を出した。
顔が赤くなっていて、驚いた私は「健太!熱あるんじゃ?!」と言い、健太のおでこに自分のおでこを当てた。
健太の体温がどんどん上がっていく。冷静になった私は「あ、ごめん!」と数歩下がった。
しばらくの沈黙があって、気まずくなる。
「わりぃ。……帰るか!もう、だいぶ暗くなって来たし!」
すっ。と立ち上がり、歩き出した。
「え?あ。ちょっとまって!!」
急いで追いかけようとして再び足を滑らせた。「キャッ!」短い悲鳴をあげて転んだ。
健太が近づいてきた。
『また怒られる!!!!』
そう思ってギュッと目をつぶった。
『………………??あれ?』
顔をあげると、健太は手をだして、また顔を赤くしている。
「危なっかしいなぁ…ほら、手。」
それだけ言うと、プイッ。とそっぽを向いた。
『シャイだなぁー笑。』
差し出された手を取り、二人で手を繋ぎながら森の中から出た。
じんわり汗がしみでてくる。
「ねぇ。アイス食べようよ!」
近くにあった駄菓子屋でアイスを買って、それを食べながら家に帰った。
今、森は無くなり、大きな公園になった。
ビルが建つより良いものの、思い出の場所、大切な場所が無くなったのは事実だ。
この日以来、怒られることもなく、ただただ、毎日の日々が、何事も無く過ぎていったーーーーー。
そして、今に至る。
今ではもう、二人だけで出かけることも、手を繋ぐこともしなくなった。あの、ベタな少女漫画でありそうなこともないまま。
シャイって、使い方あってるかな??
間違ってたらすみません