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願えば叶う。

作者: みゆ

私は、斉藤由奈。高校二年生。

私には好きな人がいる。

それは、叶わない相手だった…


その人は、学校1のモテ男、相川祐希先輩。


モテるから、絶対彼女がいる。そう決めつけて、告白すらしていない。


祐希先輩と出会ったのは、高1の時。

転けそうになった私を助けてくれた。

それから私は祐希先輩に一目惚れしてしまったのだ…


それからは、眺めているしかできなかった。


真衣「由奈ー!あんた、先輩のこと好きなんでしょ?なら告白しちゃいなって!」


由奈「そんなの無理だよ!喋ったこともないのに…。」


そういうのは私の親友。

村田真衣。


真衣「わかんないじゃん!ものはためしだよ!」


由奈「絶対無理!私は見てるだけで十分だよ…」


真衣「そっか。」


そう。私は好きな人にはなにも言えないタイプ。

だから告白なんて、したことがない。


好きな人から告白してきたことも一度もなかった。


先生「今日は、体育祭の応援団を決めようと思う。立候補者はいないか?」


そんなことを考えていると、先生の声で我にかえった。


(応援団か!)

私はこういうお祭り事が大好き。

私は迷わず手を挙げた。


由奈「はい!やります!」


先生「お?斉藤やるか?」


由奈「はい!」


先生「じゃあ斉藤は決定だ!他にやるやつ居ないか?」


結局、私と真衣、そして幼馴染みの慎、それと青山と永瀬に決まった。


先生「応援団に選ばれたやつは今日の放課後、3年4組の教室に行くように!」


5人「はーい!」


その日の放課後。

私と真衣は一緒に4組の教室に向かっていた。


真衣「一緒に頑張ろうね!」


由奈「うん!」


私たちは4組の教室に入った。1年4組、2年4組、3年4組合同で応援団をする。


もう結構人が集まっていた。


由奈「今年はこのメンバーか!去年もやってるから、今回は力抜いて頑張るぞー!」


真衣「気合い入ってるね!」


由奈「そりゃそーよ!」


2人で笑いあっていると、後ろから声がした。


???「お!今年の2年は元気がいいね!」


(この声…どっかで聞いたような)

私と真衣は後ろを振り返った。


由奈「…!!!」

私はびっくりして後退りした。

そこに立っていたのはなんと祐希先輩だった。


真衣「祐希先輩だ!はじめまして。私、2年の村田真衣って言います。」

「んで、この子が、私の親友、斉藤由奈って言うんです。」


由奈「よろしくお願いします…」

顔が赤くなる。


祐希「…顔赤いよ。大丈夫?」


急に祐希先輩の手がおでこに当てられる。


私は余計に赤くなる顔を抑えて、答えた。


由奈「だ、だ、だ、大丈夫です!し、し、心配してくださってありがとうございます!」


祐希「“だ”と“し”が多いね(笑)でも無理しないでね。辛くなったら言ってね。」


由奈「は、はい!応援団よろしくお願いします!」


真衣が横から入ってきた

真衣「お願いします♪」


祐希「よろしくね。斉藤さんに村田さん。」


私はびっくりしすぎて、その場に崩れ落ちた。

(今年は違う意味で力が入りそうだ。)


4組応援団のリーダーは祐希先輩だった。

祐希先輩が黒板の前に立って説明を始めた。


祐希「今から男女ペアを作りたいんだけど、出来れば同学年同士がいいんだよね…。でも2年の男子と3年の女子が一人ずつ半端だ。だからくじを引いて別れてもらう。」


みんなでくじを引いた。

私のくじには、1と書かれていた。


慎「あ、俺、由奈とペア?」


由奈「慎!私たち、ペアなの?」


慎「そうみたいだな。」

「でも、いいの?肝心の相川先輩は村田と組むみたいだけど…」


由奈「え?」

(本当だ…。2人が話してる…。嫌だよ…)


慎「ちょっと待ってて。」


そう言うと慎は祐希先輩のもとへ向かう。


慎「先輩!」


祐希「どうした?」


慎「このくじ、変えてもらえませんか?俺、幼馴染みのあいつと組むのが嫌なんです。」


祐希「君たち幼馴染みなの。別にいいよ。はい。」


慎「ありがとうございます。」


真衣「…」


慎「というわけで、よろしく。村田。由奈の気持ち、お前もよく知ってるだろ?」


真衣「…うん。」


(あれ?こっちに向かってくるの、慎じゃなくて、祐希先輩だし!なんで?なんで?なんでー?)


私がそんなことをぐるぐる頭の中を巡らせていると、祐希先輩がやって来た。


祐希「君の幼馴染みに、変えてくれって頼まれたから変わったんだ。」

「よろしくな!」


(…ぬぇぇぇぇーーー!)

(まぢっすか?いやいやいや!無理!無理!無理だってー!)


祐希「斉藤?」


由奈「は、はい!よ、よ、よろしくお願いします!おっちょこちょいかも知れないけど、迷惑かけないように頑張ります!」


(自分の楽しみで入った、応援団。これから私、どーなんのー!?)


次の日から練習は始まった。

祐希先輩とペアになって、すごく嬉しかったけど周囲の女子からの目線はすごかった…


(何あいつ?)と言わんばかりの目線が突き刺さる…


(う…やっぱ先輩モテるな…視線が痛いよ…)

その時、背後から声がした。

祐希「斉藤!」


由奈「はいっ!って、ビックリしたー…」


祐希「斉藤ぼーっとしすぎ!何回も呼んだぞ?」


由奈「す、すみません!なんでしょう?」

(いや…ぼーっとしてた理由、祐希先輩のせいなんですけど……そんなこと言えない…)


祐希「お前、本当に熱あるんじゃね?保健室で休むか?」


由奈「大丈夫です!」


祐希「ならいいんだけど…。本当、辛くなったら言えよ?」


由奈「…はい。」


祐希「ところで、応援団の踊りの練習なんだけど…。俺が教えるから、ゆっくりペースでいこう。」


由奈「…はい。」


そういうと祐希先輩は手を握ってきた。

(…う、うっそー!)

私はパニクる。

(あ、そっか。手をひいて踊るとこがあるから…。いやいやいや!でもこれじゃ心臓が持たないから!)


そんな事を考えてると、祐希先輩が話しかけてきた。

祐希「斉藤って面白いね。」


由奈「え?ど、どうしてですか?」

踊りながらで緊張しながら、祐希先輩に尋ねた。


祐希「リアクションが。俺が先輩って言っても一個しか変わんないんだから、緊張しなくても大丈夫なのに。」


由奈「…」

(無理だろー…。緊張って、“恋愛”としての意識なのに…)


祐希「俺さー。学年1のモテ男とか言われてるけど、絶対そんなことないから。」


由奈「でも、先輩モテるじゃないですか。彼女とかもいるんでしょ?」

(…しまった…っ!自分の首、自分でしめちゃった…)


祐希「…いないよ。」


由奈「…え?」


祐希「でも、ずっと好きな人はいるんだ。」


その言葉に私は胸が苦しくなった。

(…好きな人…いるんだ…)

由奈「…その人は、先輩のことどう思ってるんですか?」


祐希「わからない。あまり喋ったことないから…」

(先輩の好きな人って?やっぱり、私には望みはないのかな…)


それからは何も言えず、私たちはもくもくと練習を続けた。


慎「由奈と先輩、うまくいくといいな。」


真衣「…」


慎「村田?」


真衣「あ、ごめん。そうだね…」


慎「…」


練習が終わり真衣と慎と一緒に帰った。


家に着くなり、ケータイが鳴った。

由奈「慎だ。」


(由奈。先輩とうまくいってるか?ところでひとつ知らせておく。村田には気を付けろ。それじゃあな。)


(…えー?真衣に気を付けろってどーゆーこと?)


私は妙な気持ちを抑えながら、今日の夜は早めに寝た。


次の日

学校に真衣と一緒に向かっていた。

慎に忠告された言葉が脳裏から離れない。

でも私は、真衣と他愛もない会話を交わして、学校に向かった。


その日の昼放課。

真衣が居なかった。

(あれ?真衣がいない…)

私は真衣を探しに教室を出た。


人気の少ない場所から真衣の声が聞こえた。

由奈「真衣?」


真衣「好きなんです!先輩のこと。ずっとずっと。」


(え…)

私はその場で隠れてその様子を眺めた。

(…う…そ…真衣が先輩のこと…)


真衣「先輩…っ!」

真衣が泣きながら先輩に抱きつく

(…っ!!)


真衣「私、本当は応援団、先輩と組みたかった。でも、…邪魔が入った。由奈はどうですか?足引っ張っていませんか?今からでも、私に変えません?」


私は、耐えられなくなって、その場から逃げ出した。

(うそだうそだうそだ。真衣があんな子だったなんて…)

人が居ないところで立ち止まった。

由奈「…先輩は真衣の事が好きなのかな…。応援団のペア、真衣に変えるのかな…。それと…真衣は私のこと、邪魔だと思ってたんだ…。だからはやく告白しろって促したのかな…?」

(涙が…止まらない…。私、どーすればいいの?)


その場でしゃがみこんでいると、人の気配がした。


慎「由奈?」


由奈「慎…」


慎「なに泣いてんだよ。」


由奈「…泣いてなんかないよ…大丈夫…」


慎「大丈夫じゃないだろ…原因は村田か?ついにあいつ動いたか?」


由奈「…知ってたの?真衣が先輩のこと好きだって。」


慎「あいつの態度を見てればわかる。」


由奈「…ねぇ…慎。私、どーすればいいの!!?辛いよ!信じてたのに…。それに…もしも、先輩が真衣のこと好きだったら…」


慎「…辛いなら、俺にしとけよ。」


由奈「…え…?」


慎が私を抱きしめた。


由奈「し、慎?」


慎「…俺の方が片思い長いのにな。ずっとずっと、由奈を見てたのに…」


由奈「…」


慎「俺はお前がずっと好きだった。好きだからこそ、由奈を応援した。…でも、由奈が辛いなら俺にしとけよ…。俺は絶対に由奈を泣かせたりなんかしないのに…」


慎の思いがけない告白に驚く。

(…慎は私の事が好きだったんだ…。…確かに辛い。でも、ここで慎の優しさに甘えたら負けるような気がする…)


慎「今、俺の優しさに甘えたら負けるような気がするって思っただろ?」


由奈「なっ!!?」


2人「なんでわかった?」

慎「言うと思った。何年幼馴染みやってると思ってんだ?お前の考えてる事なんて、だいたいわかるよ。」


由奈「…ずるいよ。慎はずるい。私、慎を好きになれば幸せだったかな」


慎「今だけでも、甘えろよ。俺が受け止めてやるから…」


慎の言葉に涙が余計に溢れ出す。


由奈「…っ!慎!」


慎「いつでも俺に甘えていいんだぞ…。いつまでも待ってやるから…」


私は慎の腕の中でいつまでも泣き続けていた…


その日の放課後。

私は重い足取りで応援団の練習に向かった。


祐希「斉藤!今日も頑張ろうな♪」


祐希先輩の顔を見て、昼の事を思い出す。

(先輩の好きな人って真衣なのかな…?だとしたら、私は邪魔者?私、どうしたらいいの…?)

また泣きそうになると、先輩がそれに気がつく。

祐希「どーしたの?泣きそうな顔して…。」


頭をぽんぽんされる。

私は余計に泣きそうになった。

由奈「大丈夫です。ちょっと顔洗ってきます!」


私は慌てて廊下を飛び出した。

そこには、慎と真衣がいた。


慎「お前。どういうつもりだ?」


真衣「なんの話?」


慎「とぼけても無駄だよ。村田は先輩の事が好き。そして、由奈を邪魔者扱いしている。違う?」


真衣「…っ。…そーよ。悪い?あんな子、さっさと先輩に告白してフラれればいいと思った。だから告白を促したのに、見てるだけで十分とか言って。由奈は甘ったれてるわ!そんな由奈が大っ嫌いだったの。」


慎「やっと本音を吐いたか。最初からそんなことだろうとは思ってたけど…」


真衣「悪いわけ?ライバルはひとりでも少ない方がいい!だから由奈に先輩の事を諦めてもらおうと思ったのよ!」


慎「あんたの事を信じてた、由奈の立場はどうなる?もうあいつ、村田がどんなやつか知ってるぞ?」


真衣「由奈の立場なんて考えたこともないわよ!どーなったって、私には関係ないもの!それに私がどんなやつか知ったって、どうでもいいわ。あんな子、偽りの友情でしかないんだから…」


慎「お前…っ!由奈がどんな気持ちになったか知りもしないで!ふざけんなよ!」


滅多にキレる事のない、慎がキレた。

私は、泣きながら二人の会話を影から聞いていた。

真衣の本性を聞いて、もうどうしていいかわからなくなった…


その時、私の背後から声がした。

祐希「斉藤?なに泣いてるんだ?」


由奈「…ゆ…う…き…先輩…」

慎の次は、祐希先輩に泣き顔を見られてしまった。

祐希「なに泣いてるんだよ?大丈夫か?」


由奈「なんでもないです。大丈夫…」


真衣「由奈の気持ちなんて知らないわよ!私だって、自分の気持ちで精一杯だった…。それなのに…それなのに…私、フラレたの…好きな人がいるって。」


祐希先輩は声のする方を見た。


(真衣…フラレたの…?真衣は可愛いし、モテるから、先輩の好きな人かと思ってた…。でも…違うんだ…)


祐希「…」


祐希先輩は無言で慎と真衣の様子を眺めている。


慎「フラれたんだったら、その人の恋を応援しろよ。俺は少なくともそうする。村田が辛いのはよくわかる。俺もずっと由奈の事が好きだったから…。だからこそ、俺は由奈の恋を応援してきた。人を傷つけるやり方じゃなくて、人を助けるやり方の方がやりがいがあるんじゃないか?」


真衣「…」


慎「さっきの、本当に本音なのか?別に由奈が嫌いな訳じゃないんだろ?ただ、先輩にフラれて、あっちにチャンスが回ったのが悔しかったからだろ?」


突然、先輩が動きだした。


慎「先輩…それに由奈も…」


真衣「あ…」


祐希「村田。期待に答えられなくてごめんな。」

「俺、高2の時からずっとある人が好きだった。」

「その人は頑張りやさんで、おっちょこちょいで、ひとつひとつの行動に目が離せなくて、気づいたら好きになってた。」


先輩は私の方を向いた。

祐希「その人の気持ち知ってからって、すっげーだせぇけど、言わせて。俺はずっと、斉藤の事が好きだった。」


由奈「…うそ…」


祐希「俺の方が夢みたいだ。ビックリしたよ…。慎くんからでたあの言葉にまさかって思って…」

「ちょっといいかな?」

先輩が私の手を取り、進もうとした。

その時。


真衣「由奈!」


先輩の足が止まった。


真衣「由奈。ごめんなさい。私、あなたにひどい発言をした。もう一度一からやり直したい…。ダメかな?」


由奈「真衣…。いいよ。一からやり直そう…」


真衣「…ありがとう…。由奈!おめでとう!」


由奈「ありがとう…」


慎「よかったな。由奈。」


由奈「…しん…ありがとう!幼馴染みとして、慎の事、大好きだよ!」


そうして、私と祐希先輩は2人きりで踊りの練習を始めた。


祐希「…」


由奈「…」


2人のダンスはだんだん様になってきた。


祐希「かっこわりぃな。俺。」


由奈「え?」


祐希「俺さー。応援団が終わってから斉藤にコクろうと思ってたんだ。でも、こんな形で告白することになるなんてな。」


由奈「…そんなことないです。先輩はいつでもかっこいいです。私は、きっと、先輩に告白されなかったら諦めてたから…。私、一度も告白したことがないんです…。ですから…」


私はダンスをやめ、先輩の目の前にたった。

由奈「相川祐希先輩。…好きです。高1の時、転けそうになった私を助けてくれた時から…。」


祐希「…ありがとう。俺もそのくらいの時から好きだった…」


祐希先輩は私の手を引いたと思ったら、急にお姫様抱っこされた。


由奈「え?」


祐希「これからは、斉藤のこと、泣かさないからな…。今日はごめんな…」


由奈「…」

私は、固まってしまった。両思いになったとはいえ、緊張はまだ取れてなかった。


祐希「あれ?まだ緊張してるの?緊張しなくてもいいのに…。」

「…じゃあ呼び方変えてみるかな!由奈…好きだよ…」


祐希先輩はそういうと、ゆっくりとキスをした…


祐希「応援団。頑張ろうな!」


私は、先輩のキスで余計、固まった…


由奈「は、はい。」


でも、私は完全に幸せに浸っていた。


私たち4組のクラスの応援団は最優秀賞をとることができた。


その時には、先輩に対する、緊張はなくなっていた。

慎がすごくお気に入りです(笑)

慎と由奈をくっつけたかった…(笑)


真衣はすごく悪い子設定になっちゃったけど、実は一途で乙女ちゃんって裏設定←

でも好きなものを手に入れるためには手段を選ばない悪い癖がある。

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