表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/61

出発3

MSに戻ると、俺はポートにある2機の小型船をみんなの宇宙船のところに移動させる作業を始めた。

明日、宇宙に打ち上げたMSへ残りの燃料を運んできてもらうためだ。俺達は、彼等を迎えるためにMSの環境を整える仕事がある。

小型船を移動させた後は、MSへ歩いて戻らなければならず、それを2回行うので少し時間がかかる。

俺が小型船の移動を終えて、やっとMSに戻ると、メグが笑顔で迎えてくれた。

「お疲れ様」

ねぎらいの言葉と共に、手渡されたタオルで汗を拭いた。

メグの笑顔が、俺の疲れを一瞬にして心地よいものに変えてしまった。

結婚って、大きな責任を担う事だけれど、君が傍にいてくれたら、俺はきっと何でもできるな。これからずっと、頑張るからね。

そんな未来への自信と決意が、俺の中に満ちた。

 

俺はコクピットのシートに座ると、しっかりベルトをした。

操縦席にいるメグが、パネルのボタンを押し、レバーをいっぱいに引いた。

轟音と共に、MSは上昇を始めた。

体をシートに固定していても、ガタガタと激しく揺れ、潰されそうなほどの圧力が襲ってきた。

MSは今、とてつもないエネルギーを爆発させていた。

数十秒で大気圏を脱出、スムーズに旋回体勢に入った。

 

「さあ、皆さんを迎える準備をしましょう」

メグが席を立った。

エネルギーの充電されたMSでは、コクピット周辺以外に必要な各所で、宇宙服を着なくても過ごせるよう空調が整えられていた。そして、重力も作り出されていた。

まずメグに連れられて来たのは、温室だった。ここの畑で、あらゆる作物が短期間で作れるようになっている。通常はこのスペースでMSの食料は賄われているのだ。

ここの存在は知っていたが、来たのは初めてだった。

地球との距離は以前より短くて2ヶ月で帰れるが、8人が生きていくためには食料を生産しなければならない。

畑は、MSが遭難する前の状態だったため、まずそれを二人で片付ける。そして、すぐに食べられる種類の野菜を栽培する。

畑仕事は初めてなので、戸惑いながら土に触れる。

懐かしい、そして優しい感触だった。

「これは地球から運んできた土だからね」

メグが言った。

…やっぱりそうなんだ。地球こそが人の住みかなんだ。遺伝子が人の心に深く刻んだその掟に逆らっては、人は人として生きられはしない…。

俺の胸に新たな決心が生まれた。

それは、心の命じるままに生きていく事だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ