絶体絶命2
しかし、俺の体が微かに悲鳴を上げた気がした。
…今だけは…ゆっくりしようか…。
メグの体調も良いし、検査も医学の勉強も、今日は休もう…。
俺が倒れてしまったら、メグに迷惑をかける。
それじゃ元も子も無い。後でメグの食事は用意しないといけないけど…それまで…
…
コンコン。雑音がする。
…あれ?…止んだ。
俺はメグの血圧を測りながら、腕に聴診器を当てて脈をとっている。
今の雑音はどこから聞こえたの?メグの体から?!もしや…彼女の心臓に異常があったりして…。
コンコン。…まただ!メグはやっと良くなったところなのに、一生懸命に健康管理もしたのに、どうしたらいいんだ?!
「ワタル!大丈夫なの?」
…ドアの向こうで呼ぶメグの声でやっと、現実に戻った。ああ、ノックの音だったのか…。
俺はびっしょり冷や汗をかいていた。
さっきの夢で、本気で焦っていたらしい。
夢というのは全く辻褄が合わないのが多い。
大体聴診器当てていて、あの音で焦るなんて。
どう考えたってあの金属音は体から出る音じゃないのに。俺は苦笑しながら、時計を見た。
―ウソだろ?―
時間の経過に驚く。10時間も過ぎていた。そりゃメグも心配するよな。
「メグごめん、爆睡してた。ちょっと待って」
俺はドアに向かって呼びかけると、自分の体に鞭打って起き上がった。
体に力が入らない…。俺は眩暈が収まるのを待ってから、ドアを開けた。
「ごめんね、待たせて」
「心配したよ。相当熟睡してたのね?」
そこには、俺に微笑みかけるメグの姿があった。
本当に…可愛いな…。
4ヶ月経って、俺はメグの前でも少しは落ち着いていられるようになってきた。
でも今も、彼女を見てると胸がいっぱいになる。
癒されるって言うか…本当に幸せになる。
髪が伸びたせいか、以前より少し幼く、可愛く見える。
昔は、本当に俺には手の届かない…雲の上の人って思ってたけど、今俺の目に映る彼女は、普通の女の子だった。
でもその女の子は、俺にとっては世界にたった一人の、かけがえのない存在になってしまっていた。
だがこの4ヶ月間。彼女が俺の気持ちに感づく事は無かった。
俺は必死で、自分の想いを隠し通したんだ。