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カウントダウン5

10分前になっても思いつかなかったら…エネルギーを戻して、その運命に身を委ねよう…。

でもあと14分間…ギリギリまで、精一杯あがいてやる。運命に逆らってやる。

俺は図書館に駆け込んだ。

時間が無い。

急いで数冊の本を集める。

自分の全ての神経を集中させて。絶対に、誰も死なせたりしない…!

1冊目の本を開く。宇宙航行学の本だ。見開きに、MSの構造図が載っている。

宇宙都市ともなると、必要なエネルギーは莫大だ。

しかし限りある資源である燃料エネルギーは、普段使う事は無い。

MSの隣には太陽反射鏡が浮かんでいる。

その巨大な鏡面で受けた太陽光線を集めて、MSの壁面にある太陽発電装置に向けて跳ね返している。

ちょうどパラボラアンテナのような仕組みだ。

俺は図面を脳裏に焼き付けると、続くページを捲らずに本を閉じた。

宇宙航行学の専門的な内容は、今必要ではない。

直感的にそう判断した。

SSPなら内容を熟知しているはず。

そして彼等はその知識で、最善を尽くしているのだから。

2冊目の本に手を伸ばす。

これは理科の本だ。

しかも教員免許を取る人のために置いてある、小学生用の教科書だった。

自分の勘を信じて集めてきた本ではあるけれど、これはちょっと…。

溜め息をついて次へ行こうとした時、俺の目は、表紙の写真に釘付けになった。

一筋の光が差し込んでいる。

それは水面に当たると、屈折して水中を進む光と、そしてもう一つ…反射する光とに分かれていた。

小学校から高校まで繰り返し習った反射の法則が、俺の頭に蘇った。

ミサイルは、MSの電磁波を追跡している。

そして反射鏡は、太陽の可視光線だけでなく、赤外線や電波…全ての電磁波を反射するのだ。

太陽の電磁波はMSとは比べ物にならないほど強い。

しかも多くの電磁波を一つに集めて跳ね返すから、ミサイルのコースを狂わせる事ができるかもしれない。

成功してミサイルが反射鏡で爆発してくれたら、周囲への被害は少ない。

MSよりずっと小さいし、MSと違って燃料も入っていないから、引火して大爆発を起こす事も無い。

しかし、俺達が無事でいられるかどうかは判らない。

ミサイルは、MSには当たらなくても、至近距離で爆発する。


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