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君がいる街へ  作者: 芙美
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 4 次の町へと

 僕はどこに行けばいいのだろう。

 僕の求める場所はどこにあるんだろう。 

 期待と失意を繰り返し、僕はくたくたになった。

 時折危うく自分という人間の底の浅さに触れてしまいそうになったが、そんな時にも絶えず妄想し、空想によって回避をし続けた。

 相変わらずなのだ。

 何十という町に行こうが、何十という職に就こうが、何も手に出来ないまま僕は逃避を続ける。

 うまくいかずに町から町へと移動する車の中で、僕は憎しみに縛られた。世界を呪った。

 何故だ!

 それが何に対して、誰に対しての問いかけかわからないまま、疑問を投げた。

 もちろん返答なんかありはしない。

 自問自答する勇気もなく、僕はまた次の町へと行く。

 でも本当は怖かった……もう、どこにも行けないくらいに。

 せめてそれくらい認めることが出来たら、もっと早く僕は変われたのだろうと思う。


  *


 僕は今また次の町を探しながら移動している。

 舗装されていない道を走り、揺られながら木に覆われた薄暗い道を抜け、青空に迎えられた。

 透き通った空の明るさに、何か良いことが起こりそうな、予感めいたものを感じる。

 少し広がった道の端に車を止めた。

 ガードレールの下に見える小さな町、次はここに行こう。そう決めた。

 次の町では僕はうまくやることができる。きっと、できる。

 それはもちろん確信ではない、そうあればいいという、希望による思い込みだ。


 僕は、闇雲に期待をしていた。

 世界を呪いながら、僕は期待してばかりいた。



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