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太陽くんは、男の子  作者: 浅華
春の終わり

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8/24




校外学習は、そつなく終わった。


お昼以降の記憶は、正直あまりない。


けれど、提出したレポートは出来が良かったらしく、後日先生に褒められた。


「よくまとまってたぞ」


そう言われて、少しだけほっとする。


今まで自意識過剰だと思っていた。


でも。


どうやら、あのとき野球部の人たちは、本当に笑っていたらしい。


恒一くんも、何も言わなかった。


――それって、どういうこと?



校外学習が終わって一週間。


なんとなく、あの六人のグループはそのまま仲が良かった。


グループLINEは、ちょこちょこ動いている。


小田ちゃんはクラスのソフトボール部の子とお昼を食べることが多い。


けれど、谷さん――彩音ちゃんとは、自然と一緒にいる時間が増えた。


今ではお互い下の名前で呼び合っている。


「澄」


「彩音ちゃん」


お昼も、基本的に一緒に過ごしている。


彩音ちゃんは、あの日のことを特に聞いてこない。


ただ、いつも通り隣にいる。


バイトのある日が続いて、恒一くんとは一緒に帰っていない。


私は、まだ何も聞けずにいた。


なんとなく。


彩音ちゃんは、野球部の人たちとすれ違うとき、私を隠すように立ってくれている気がする。


今日も廊下の向こうから、見慣れた制服が歩いてくるのが見えた。


「澄、トイレ行こ」


自然な声。


手前で曲がり、ふたりで女子トイレに入る。


ちょうど良かったから、そのままそれぞれ個室に入った。


その直後。


数人の女子が入ってくる。


「でさ、美玲が校外学習で睨まれた話きいた?」


「あー、挨拶したら〜のやつでしょ?」


「そうそう。なんか武田くんと美玲が同じグループだったの気に食わなかったらしくて」


「美玲が挨拶したのに睨んだんでしょ?笑」


「まじ怖w 女って感じ」


「地味だから必死なんじゃない?」


「取られるって思ってそう」


「いや、美玲に張り合うの無理でしょ〜」


息が、止まる。


あのときの話。


こんなふうに、伝わっているの?


「武田くんなんで付き合ってんだろうね」


「なんか武田くんからって聞いたけど」


「えー? 絶対なくない?笑」


ガタン。


大きな音。


「手、洗いたいんだけど」


彩音ちゃんの声。


「あ、……ごめんなさーい」


鏡の前にいたらしい彼女たちは、すぐに出ていった。


静かになる。


「澄……いなくなったよ」


個室の外から、優しい声。


「ありがとう……えへへ。私、めっちゃ悪い女になってるね」


笑ったつもりだった。


でも、声が少し震える。


手を洗う。


水が冷たい。


「澄は優しいよ」


彩音ちゃんが、ぎゅっと抱きしめる。


ぽん、と頭を撫でる。


その瞬間。


ぽろりと、一粒だけ涙が落ちた。





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