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太陽くんは、男の子  作者: 浅華
春の終わり

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7/24




校外学習当日。


天気はよくて、街並みも思っていたより綺麗で。


気づけば、小田ちゃんとも谷さんとも自然に話せるようになっていた。


「え、それ澄っぽい!」


「なにそれ〜」


六人で笑う。


山崎は写真を撮るのがうまくて、気づけばスマホの中が少しずつ増えていく。


「昼どうする?」


「映えそうなとこ調べる?」


小田ちゃんがスマホを見せる。


「ここよくない?」


白壁の店内、窓際の席。


「決まりだな」


山崎が言って、みんなでその店に入った。


「何名様ですか〜?」


「六名です」


「少々お待ちください〜ご案内しますね〜」


店内は少し混んでいる。


パーテーションの向こうから、賑やかな声が聞こえた。


「いや!まじで!!恒一と美玲ちゃんってお似合いだよなぁ〜!!」


聞き覚えのある声。


川端。


え、と澄の心臓が跳ねる。


「えーと、白石?さんより早川のが普通に可愛いしな笑」


坂本の大きな声。


「いやいや失礼だから笑」


美玲の、少し笑いを含んだ声。


「美玲より普通に彼女ちゃんのが可愛いでしょ〜?!」


「そんなことありえないでしょ」


川端の声が重なる。


澄の指先が冷える。


一年間、特別なことはなかった。


でも、ずっと付き合っているのは事実だ。


みんな知っているはずなのに。


吉田くんが困った顔で視線を泳がせている。


小田ちゃんが、そっと澄の袖を握る。


今日の道中、「どうやって付き合ったの?」と聞かれたばかりだった。


――さいあく。


空気が、変わる。


「お待たせ致しました〜こちらです」


店員の明るい声。


澄は一瞬、ここを出たいと思った。


でも、自分たちの、いや、澄の都合で案内された席を出るのは忍びない。


「……ほら、入ろ」


小さく言って、みんなを促す。


席についた瞬間。


パーテーションの向こうから立ち上がる人影。


川端の顔が見えた。


一瞬、ぎょっとした顔。


その奥に。


恒一。


え。


ここに、いたの?


店員がメニューとお冷を置く。


向こうは出るらしい。


伝票を持って席を立つ。


澄たちのテーブルの横を通る。


美玲が立ち止まる。


「ごめんね、白石ちゃん。川端に悪気は無いんだよね」


初めて、直接かけられる声。


柔らかくて、にこやかで。


でも、一方的に名前を知っている距離感。


澄は、うまく笑えているのか分からなかった。


「あ、うん……全然」


恒一は、何も言わない。


目も合わせない。


ただ通り過ぎる。


その背中が、遠い。


川端と一瞬目が合う。


「……女子、こえ〜……笑」


小さく、でも聞こえる声。


澄はうつむいた。


「……なんだあれ、感じ悪」


低い声。


谷さんだった。


山崎は、何も言わない。


けれど。


澄の前にさりげなく水を置いた。


「お腹すいたね」


いつも通りの声。


深く触れない。



澄は、こくりとうなずいた。


楽しかったはずの昼。


テーブルの上のメニューが、やけに遠く感じた。



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