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太陽くんは、男の子  作者: 浅華
春の終わり

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6/24


校外学習に向けたグループワークの日。


六人で机を寄せると、自然と輪ができた。


山崎くんは、特別仕切っているわけでもないのに、いつの間にか話の中心にいる。声が大きいわけではない。ただ、話題を出すのがうまい。私達をよく見てくれている。


久我くんは、その隣で地図をじっと見ている。必要なときだけ口を挟むタイプだ。山崎くんとテンポよく喋っている。


吉田くんは静かに資料を広げている。テニス部の男子で、ニコニコしていて、あまり多くは喋らない。


小田ちゃんは、良く似合う短髪を指でくるくるしながらパンフレットをめくっている。ノリが良くて、さっぱりした子で去年同じクラスだった。


谷さんは少し距離を取って座っているけれど、ちゃんと話は聞いていて時折しっかり意見を言う。この学校では少し目立つ脱色された茶髪で耳にはピアスが光っていた。


そんな5人と私でグループだ。





山崎が地図の一点を指差した。


「ここ寄りたくない?」


写真には古い街並みと小さな甘味処。


「いや、時間足りないでしょ」


久我が即座に返す。


山崎は少し考えて、肩をすくめる。


「確かに。欲張ると最後バタバタしちゃうか」


吉田くんが小さくうなずく。


「移動距離、意外とあるみたい」


小田ちゃんが「じゃあこっち削る?」と指を滑らせる。


澄も地図をのぞき込みながら、「そしたら余裕できるね」と言った。


大きな揉め事もなく、自然にまとまる。


山崎が提出用紙にまとめ、小田ちゃんが「優秀」と笑う。




そのまま六人で次の移動教室へ向かった。


廊下を並んで歩く。


前から、野球部の数人がやってくる。


恒一の姿はない。


森川もいない。


川端と坂本――見慣れた顔。


目が合う。


澄は軽く、ぺこっと会釈する。


すれ違う。


その直後、背後で笑い声が弾けた。


何を言っているかは聞こえない。


けれど、背中が少し冷える。


「でさ、さっきのルートさ」


山崎が何事もなかったように続ける。


「最初に人多そうなとこ回った方が良くない?」


「あ、うん……そうだね」


少しだけ返事が遅れる。


自分でも分かるくらい、気持ちが沈んでいる。


山崎くんは、沈んだ澄に気づいているのかいないのか


優しく澄と目を合わせて微笑んでいる。




「白石、小田、谷、甘いの好き?」


「好きだよー!」

と明るい小田ちゃん


「まあそこそこ」

と谷さん


「え? うん」

ワンテンポ遅れて澄は返事をした。



「じゃあ甘味処は外せないな」


山崎が軽く笑う。


このグループの優しくて明るい雰囲気が


なんとなく澄を救った。


さっきのざわつきを、胸の隅に押しやって、

なんでもない顔で笑った。





その様子を、谷さんは静かに見ていた。


何も言わない。


ただ、澄の表情を一瞬だけ確かめるように。



隣のクラス。


川端が恒一たちの輪に飛び込む。


「おい恒一〜! さっき白石さんとすれ違ったぞ」


「あぁ」


なんでもない顔で返す。


「山崎と一緒だったわ。なかなか楽しそうでさ」


わざとらしく言う。


恒一の指先が、ほんの一瞬止まる。


野球部のグループに紅一点、マネージャーであり、学年一の美女と名高い早川 美玲(はやかわ みれい)が、くすっと笑う。


「白石ちゃんも、イケメンと一緒だと嬉しいんじゃない?」


柔らかい声。


けれど、言葉は鋭い。


「いやいやいや! 恒一ほどいい男いないだろ〜? 浮気じゃーん」


「うわき!?」

坂本の声が無駄に大きくて響く


「ちょ、声でかいって」


周囲が面白がる。


傍から聞くと川端の合いの手がまるで

さっきの話が真実で、触れてはいけない事のように聞こえる。


美玲は首をかしげる。


「恒一くんといたら、イケメンでも惹かれないな〜。美玲だったら」


ざわっと空気が揺れる。


恒一は、笑わない。


「……」


ただ、黙ったまま視線を逸らした。





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